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2014/12/22

しまなみを走る


四国に向かったこまっちゃんから電話がかかってくる。
大阪行きの夜行バスは、20分遅れて到着した為に、電車の乗り継ぎの予定が全部狂ってしまったらしい。今夜は瀬戸内の島に宿を取っているけれど、暗くなる前に着けるかどうか。

昨日こまっちゃんが出かける前、お金の話になった。
「本当にやりたいことはお金が無くても実現出来る、と言いうようなことを聞くけれど、本当にそうで、もしも1000万くらい貯金があったら、大きな投資したりしてきっと全部無くなるまで失敗し続けるだろうと思う。無いから本気で考えるし、あれこれ考えたり失敗したりする猶予がないから、最短で成功すると思う。真剣度合いが違うから、判断も早いし直感も冴えまくってる。」
「そうか〜。お金が無くて、本当に良かったね!」
心からそう思った。本当にその通りで、もしもそんなに貯金があったら、今移住のことを考えなくてもいいのだから、これまで通りの生活をしながら問題を先送りにしただろう。それはその分だけ遠回りなのだ。お金がある、と、遠回り!わお!怖い!そういうメカニズムだったのか!

去年だか一昨年、移住したいと考えて情報を集めていた頃、雑誌か何かでみた石見銀山にある「他郷阿部家」の台所がとても格好良かったのを思い出して、今日サイトを眺めていたら、リンクから岡山の西粟倉と島根の海士で起業して地域の在り方を模索しておられる方の対談を見つけた。とても興味深かった。地域おこしを本気でやるというのがどういうことか、ほんの少しでも分かったような気になった。
そして阿部家で行われた別の企画のレポートの中に、島根にいるこまっちゃんの友達が出てきて、彼女は今や島根の地域おこし協力隊の企画のホープのようになっていて、ちょいちょい露出があるのを見て知っていたものの、ここにも繋がるとは、すげーと思って見た。西粟倉のことは彼女から聞いたことがあって、こういう繋がりって、繋がるとどこまでも繋がるんだなあ。こまっちゃんにそのことを電話で話したら、海士にもこまっちゃんの友達がいるらしい。わたしは海士には「ふくぎ茶」を飲んだ繋がりしかない。美味しい。

こまっちゃんは1時間遅れでなんとか愛媛に着き、なんとか自転車を借りられるところまで歩き、日が暮れかけた橋を走って一つ目の島に着き、そこから宿まで、途中完全に道を外れ、真っ暗の中を延々アップダウンしながらなんとか宿に到着。
そして腹一杯の夕食を食べる。

「千円…グレードアップしなくて良かったな。」

感じたことなど、電話で色々話す。
今回彼が応募を考えている協力隊には2種類の募集がある。一つはピンポイントに地域を絞ったオーソドックスなものと、もう一つは範囲を広く観光に携わるものだ。
「一日二日で見た土地を、定住する覚悟で何をすれば良いかなんて、分からないよ…。」
と、そもそも論の至極まっとうなことを言うこまっちゃん。

彼はどちらかと言うと観光の方にピンと来ている。
わたしは地域の方がいいな〜と思っている。
だけど、本当にこの、見知らぬ土地の、地域をおこしたいのか?おれは?という疑問が、おそらく当然元々あった、今まで興奮して見えていなかった疑問が見えたらしい。

でも、無理矢理気持ちを方向付けしたり、無理に好きになったり、どこかに嘘をついてやることは出来ないし、そんなことをする必要も無い、実際見て、何か違うと思ったら諦めたら良いし、そうするしかない。

大体、まだ一日目だし。暗くて殆ど見えてないし。

でも、暗がりを走ってコンビニの店員さんと話しただけだけれども、
「ここは本当に素晴らしい。暮らしたかったような暮らし方は必ず出来ると思う。」
ですって。