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2014/12/31

ぞろ目


今日はこまっちゃんの実家へ。
先日プレゼントして頂いたお洋服と、昨日買ったダウンを着たみくりんをぎゅっとベビーカーに詰めて、寒風の中初モノレール、ベビーカーでバス、ベビーカーで初電車。みくりん、良く寝ている。到着して中身を取り出したら、ほか〜と暖かくなっていた。

実家に初めて行ったみくりんは、みんなに注目されて、代わる代わる抱っこしてもらったので、その間わたしはひたすらご飯を食べていた。量は随分食べているんだが、お腹いっぱいにならない。痩せていく。最近は髪も抜けてきた。産後は抜けると言われたが、そろそろその時期が来たようだ。髪が多くてすきたいので、かわいく抜けて欲しい。

今年は最終バスで帰れるように、9時まで紅白を観た後、みんなで年越しそばを食べる前に帰ってきた。近所の小さな神社でお参り。初詣には2時間程早かったので参拝客はまだ誰もいなかったのだけど、今年は見守って頂いたような気がしているので、お礼のお参りをする。

紅白を観ていて、「歌手の人って、とっても歌が上手いなあ〜!」と思った。うちにはTVが無いので、久しぶりに観たからだろうか?
以前はああいうイベントものを観ても、毒づくばかりで感動したりすることが無かったけれど、今日は「『歌う』というあんなに自分をオープンにするある意味恐ろしい行為で、すごい量のエネルギーを発しながら、気持ちよく声が出せるなんて、修行されているなあ」と思った。単純にすごいなあと思った。

こまっちゃんと「22時22分22秒」を一緒に見る。
最近こまっちゃんは、時計を見るとぞろ目であることが多いらしい。





2014/12/30

バランズ・ハイ


今日はこまっちゃんはおせち詰め2回目。
おせち詰めと言っても、今回は子持ち鮎とキクラゲの間にバラン(写真の緑の)をはさみ続けること12時間(うち休憩60分)。途中からちょっと気持ち良くなってきちゃったりして、ランナーズ・ハイもといバランズ・ハイだと。どうしてもそれをタイトルにしてくれと。

明日こまっちゃんの実家に行くもので、明日使う為のみくりんのダウンジャケットを買いに、近所のショッピングモールへ。子供服のリサイクルショップがあって、初めて行く。
前日に目星をつけていた赤いのが、目の前で売れて行った。
それで茶色いのを購入。きっと今シーズンしか着ないのだろうな。800円の20%オフ。

こまっちゃんは仕事が終わり、帰りの駅で反対側のホームにおせち詰めの社員の人が、社員割で買ったおせちを手に下げているのを見て、
「仕事に誇りを持っている、いいものに見えた。」
のだって。
「きっと家族や子供がいて、お父さんの会社が作ったおせちだといってみんなで食べるんだろうな。」

それが今日一番のいい話だった。




フレッシュ!



今日は久しぶりに自分の自転車に乗った。1年ぶりくらいじゃなかろうか…。結婚前に働いていた「たかね」という和菓子屋さんから頂いた、最初のバイト代で買ったクロスバイク。いい自転車だな!気持ちが良くて、つい郵便局にハガキを出した後パン屋にも行ってしまう。甘いパンなどを買ってしまう。
「たかね」の和菓子は本当に美味しい。そして日本茶がべらぼうに美味しい。わたしはあのバイトでものすごーく味覚を鍛えてもらったし、素材のこと、調味料のこと、茶器のこと…教わったものが豊かすぎて書ききれない。
結婚して引っ越してから、毎日食べていた日々に別れを告げ、たかね以外のものを広く知りたいと思って食べるけれど、何を食べてもたかねの味が基準になっている。財産の一つだと思う。
自転車は今こまっちゃんにお下がりで行っている。みくりんをおぶって乗るのは…無理だろうな…。

本日は遠路はるばる、こまっちゃんの大学時代の友人が、奥様とお子を連れて来て下さいました。同級生の彼は、先日の弾丸しまなみ旅行で宿を提供して下さった方。それにしてもお子がかわいらしい!
なんだろなー、赤ちゃんに遊んでもらった時に感じるハッピーさは…。あの破壊力!時間を忘れる。笑った時なんか特に。
そして7ヶ月の彼の、エネルギッシュな瞳と身体の締まった感じと比べると、随分人っぽくなったとはいえ、みくりんはまだ人生まどろみの中にいることがよく分かる。随分大きくなって、身体も大きい方だと思っていたけど、彼を見てからみくりんを見ると、彼が「人」だとすると、みくりんは「種」って印象。赤ちゃんの成長はミラクルなのね。

こまっちゃんと友人は、男二人、器の話や味醂の話で盛り上がっていた。この二人、何か似ている、トーンとか顔とか…似ていると思って見ているとやっぱり似ている。
ご夫婦で民芸好きだそう。当地まで買いに出かけるとのこと、羨ましい!そして正しい!

お二人には、出産祝いで日本全国のうまいものをセレクトしたカタログギフトを頂いて、今日の夕ご飯はそれで取り寄せた出雲の干物を頂く。
黒むつ〜!あぶら乗ってて、干物なのにフレッシュな感じで、美味いよう〜。

今日は美味いの話ばっかりだな。
本当は我々、今、人間関係で悩んでいるのです。それぞれに。でもお互い、似たようなケースで逆の立場で直面しているので、アドバイスし合えるのが、良くしたもんだな〜と思う。



2014/12/28

実でも生ける


今日は年賀状を書く。少ない枚数だけど、今年こそは、今年こそは、と思い、今年こそは…出す!ところまでやる!

日雇いのバイトの昼休み、こまっちゃんから電話が来る。仕事の内容は、4万円のおせちの中身が段ボールに入ってるのを、解凍する為に冷凍庫から出して来る、だそう。
「中国人しかいない…」
指示を出すリーダーも中国人で、日本語と中国語で指示を出し、働いている中国人達も皆知った顔のようで、和やかに和気あいあいとしたムード、だが4万円もするブランドおせちがこんな風に作られているとは…賞味期限が2016年だとか、コーンスターチとか着色料だとか、日本人がほぼ皆無とか…。
「日本人はすごいね。どんどん仕事が早くなって、効率が上がって行くんだよ。だけどさあ、それすると…結果的に自分が疲れちゃうんだよね。」
日本特有の文化を支える現場が、意外にグローバルであるところの話を聞いて、何となくわたしは、「元寇」とか、「中国の元と、韓国のウォンと、日本の円が、もとは同じ一つの漢字『圓』である」という話を思い出していた。実に関係無い。

帰ってきたこまっちゃんと、今日解凍してきたおせちをネットで見、他の料亭のおせちがどんなもんか見(彼が今日解凍してきたやつも、一応料亭のおせちである)、うちでよく使う料理本を出している方のお店「京味」が、どんなおせちを作っているのか見る。
京味のおせちは、なんと十万円以上だった。お得意さまだけが食べられるという…。
料理本に載っているレシピは、おふくろの味で非常にシンプルである。さつまいもを煮るのに砂糖、醤油、以上、それでとっても美味い。だけど「京味」で食べるには、紹介でしか入れない。一見さんお断りなのだ(食べログ情報)。

こまっちゃんは年明け、当てにしていた派遣がだめだったので、どうしたもんか悩み中。割が良く、3ヶ月弱で許されるもの…何か、天からのお導きか何かで閃かないかなあ。本当はパン屋で働けたら良いと二人とも思ってるのだけど。島でパン屋になったら、人気者だろうなあ。ならないけど。

そういえば先日、こまっちゃんはコーヒー豆を買いに行って、マスターに
「転職活動中なんだって?」
と聞かれ、島に行って心を決めた話をしたら、
「俺、今年行ったな、その島」
と言われたそう。すごい偶然。美味しい海鮮料理を食べに行ったらしい。
いつも国立の「国立コーヒーロースター」で豆を買っているのだが、わたしはここでコーヒーを飲んで、初めてコーヒーをポジティブな飲み物だと思った。美味しい水を飲んでいるようだと思った。
最初のきっかけは、こまっちゃんと散歩に行って雨に降られ、目に入った喫茶店に雨宿りしようとしたのだった、そしたらそこは喫茶店ではなく焙煎屋さんだった。
ド素人のわたしたちにマスターは色んなことを教えてくれて、コーヒーを淹れることが好きになって、今ではコーヒー淹れる人になりたいくらいだ。島で。

うーん、やっぱり島に向かって矢印が出てる感じがするぞ。



和菓子祭り


朝起きたらこまっちゃんがいない。
今日は日雇いのバイトに行っています。おせち詰めだって。
「空いている日はバイト入れるか」と言って色々日雇いのバイトを見ていたが、ひっかかるもの全部食品系なので面白かった。
大事なヒゲを全剃りで行ったと思われます。

昨日はこまっちゃんのお友達がお3方来てくれました。遠路はるばる…ありがとう。
美味しい和菓子をお土産に頂いて、和菓子祭りでした。ごはんも食べて、和やかな会。今年はみくりんにはサンタクロースがたくさん来たね。

今は午前中の家事を終えて、コーヒーを淹れて一人和菓子祭りの続き。

みくりんが産まれたら、かつてのように家に人を呼んだりして皆で食べたり飲んだりがどうなるかなあ、と思ったけど、少し質が変わったかもしれないけど、思った程そんなに変わらない。むしろ質が変わったことをいい風に考えられれば、もっと良くこれからも変わっていけるのは、楽しいことかもしれない。



2014/12/26

やっぱり年賀状書こうっと


こまっちゃんが帰ってきて翌日の今日。
年明けにわたしの実家に帰るのだけど、その時に移住を考えている話をして年明け早々微妙な空気になるよりも、事前に話をしておこうと思って電話をかける。

母と話すこと、小一時間。

…想定していなかった反応で、電話を切った後ぐったりして、こまっちゃんとあたふたして、話し合い、対策を考えて、話し合い、へとへとに…。

反対されたわけじゃないんだけどね。賛成でもないっていうか。とほほ。
でも一応の解決策と、本気で移住したいという気持ちの根っこのところを見つめ直すことが出来た。

本日のまとめ
「自分たちが大事だと思っていることに100%向き合いながら正直に生きるということが、結果的に、自分を含めた周りの人達を幸せにする」
「不安になると怒り口調になる」

母の友人で、
「私ね、不満は一つもないけど、不幸なの。」
と言ったお金持ちの奥様がいるらしい。多分、おばあちゃんと言っていいくらいの年齢だろう。
それって、本当に不幸だな!と思ってびっくりした。そして不満が無いということが幸せのゴールじゃないんだなぁ〜!と知った。
ということは、知らない世界を冒険するスリルや、先の見えない不安は、幸せの中に含まれてるってことかな。

2014/12/25

ご帰宅


こまっちゃんが旅から帰ってきました〜(明日だと思ってた)。

「長かった、疲れた、良い旅だった」
だそうです。

瀬戸内を自転車乗りながら動画を撮ってきてくれて、見てるとがたがたして酔いそうになりながら、でもほんの少〜し香りました、島々の雰囲気が。

島パワーを得てますます直感が冴えてきたそうです。
1個鞄に残ってた島のみかん、ゼリーのような味がするんだそう、明日食べよっと。





2014/12/24

クッキーが大成功だ


今日、なかしましほさんのレシピのクッキーが初めて大成功だったよ〜。
今まで1度くらいしか、レシピ通りの分量で作れたことが無かったのに、10回くらいは作っているのに、今日はレシピ通りで会心の出来。いつも水分が足りなくて、『鉄板に乗せて焼く』の段階でほぼ粉状態。
油を入れた所で、塊をほぐす方に力点を置いていたのが敗因だったな。最初に全体にまずざっと行き渡らせる方に着眼をおけば良かったみたいよ!アヤちゃん!(私信)

美味しいオートミールクッキーと白ごまショートブレッドでした。

さて。こまっちゃんは無事瀬戸内を通過して広島側に到着。お好み焼きを食べて、今夜泊めて頂く大阪の友人宅へ向かいました。各駅停車で。

午前中は3つ目に渡った島の、心を決めた島の大きな神社にお参りしたそうで、
「すっごい…。格が違う…。伊勢神宮とか行ったこと無いけど、きっとそんなような、今まで行った神社とは奉られてる存在が全然違う…。」
と言っていました。写真を撮ろうと思ったけど止めて、
「ともちゃん、実際に自分で見た方がいい」
だそうです。「島も一回来た方がいい」と。そんなん言われても〜…行きたいよー。いつ?
わたしのリクエストで、ネットで知った、磐長姫が奉られている小さい神社にも行ってもらいました。レアなんじゃないかと思って。
随分傷んでたようで、
「お金を儲けたら建て直してあげよう」
と言っていました。そんなこと許されるのか?色々夢がでっかいな。

自分が島に住んだらどんなことがしたいか、ぽややんと浮かんでいたイメージを、深く考えずに端からどんどん書いたら、全部で12ページになった(15センチかける8センチのノートで)。
これ…こんなん提案したら、やっぱり地域おこし協力隊なれるんじゃないか?応募しようかなぁ…こまっちゃんに負けない自信がある!ライバルだな!などと思ったりして。
空想している段階が、現実の制限がかからずに、が一番楽しいなあ。実現していく過程は、手に取れる、目に見える手応えみたいなものは、それはそれで楽しいけど、苦しくもあり、また別の楽しさというか。

こまっちゃんが旅に出て、産後初めてみくりんと二人だけで1日中過ごしている。彼が派遣の仕事を始めたら、いつも二人でやっていた家事を一人でやるのか、どうなるのかな…と不安に思っていたけど、いざその時になったら案ずるより産むが易しでした。
あ、でもそういえば派遣の仕事、有楽町の仕事はだめだったよう(長期でやれる人募集のため)。うーむ…。嘘付いて雇ってもらうか…でも嘘は良くない。
今日はみくりんは良く寝て、起きるとにこにこしているので、「かわいい〜!きゅー!」と大興奮でからむ。お風呂、追い炊きしているけど、入れるかなぁ…今は寝ているが…。



先進国


今日はどどっと動きました。
こまっちゃんの島巡り、今日は2つ目と3つ目。

午前10時頃、こまっちゃんから電話がかかってきて、もう2つ目の島に渡って、海岸沿いを半分くらい回っていると。神社でお参りし、名物の塩ラーメンを食べる。とにかくいい場所だと。
目の前にただバーンと海だけがあると、なんだか心細くなるんだって。島がぽこぽこしていると、安心というか、ハピネスがある感じがするんだって。ラーメンも美味しかったって。

今回、彼が応募を考えていたのは2種類あって、1つは観光、1つは地域おこし、地域おこしの方は、募集の対象になっている島が全部で4島あるのです。
最初の書類選考は、4島の6つの町のうち1ヶ所を選んで、自分がやりたい活動を具体的にレポートにする、というものになります。
なので彼の今回の旅の目的は、対象になっている島を見る(4島のうち自転車で行ける3島を)、そこに移住したいか決める(永住のつもりで)、協力隊としてそこでどんな活動をするかイメージする(たった数時間の滞在で)、広島県側の3島も渡って比較課題とする(通り過ぎるだけなのに)、ということなのです。無茶苦茶です。

午後、3つ目の島から電話があって、「凄いことが起きた。この島に決めた。」

3つ目の島で、たまたま見つけた喫茶店が気になり、入ろうとしたけれどやっていなかった。でも中に人がいたので声をかけたら入れてくれた。
地域おこし協力隊に応募しようと考えていることを話したら、「ちょっと待ってろ」とどこかに電話をかけるマスター。
しばらくしてやってきたのは現役の地域おこし協力隊のご夫婦。
2時間くらい話をして、「この島に応募した方がいい」と。
島によって気質が違うことや、現在活躍している隊員さんのことや、移住者が増えてきている今の流れや、それを受け入れるそれぞれの島の考え方など、沢山の情報とアドバイスを頂いて、こまっちゃんは
「この島は全部の夢が叶っちゃうよ」
と言っていた。
ネットで手に入る情報に関しては、わたしが彼にレクチャーしていたので、彼らの話にも「あそこは〜なんですってね」などと言って「良く知ってるねえ!」などと言われ、わたしが取り憑かれたように情報を集めていたのもここに生きたか。
有機農家も増えてきていて、ソーラーパネルを付けている家が多く、起業の支援があり、移住組が繋がりを作ってイベントを始めたりなど、山も海も新鮮な食材も全部ある上に文化的にもレベルが高くなったら、そこは…むしろ最先端じゃないか…!あるいは自然育児が出来るとか、学校教育が森や海やをフィールドにして科目を超えた学習が出来るとしたら、海外からの観光も増えているし、世界に発信してかつ海外とも知恵や経験をシェア出来たら…人気過ぎて困っちゃうんじゃ?などなど夢膨らむ。
なんか東京でマイノリティだったのが、そこではそうでも無さそう、移住してくる人はやっぱりどこか変わってるのだそうで、話していて歓迎されている感じがした、行き当たりばったりの旅だったのに、こんな出会いがあるとは全く思っていなかった、追い風しか吹いていない、島の人達は、高齢化は問題ではあるけれど、全部あるからそんなに不足を感じていないそう、だから自分がやりたいことを協力隊としてやればいい、と。

昨日までの迷いはきれいにさっぱり、観光の方の募集と迷っていたのも、「いきなりの島暮らし、不便な田舎で、は無理なんじゃないか?」の不安も、消えて、
「この島にする」
だそうです。

わたしも話を聞いていてわくわくしたし、すごいシーン、その場にいたかったよ〜!話だけだとまるで天国のよう。わたしの全てが中途半端なさまざまなスキル(ピアノ、作曲、歌、音楽指導、演出、絵、文、映像、サイト作成、コーヒーを淹れる、日本茶を淹れる、など)が、半端ゆえ何者にもなれないと思っていたのが、そのままで、それが良かったと思えるかもしれない場所かもしれないなんて、ぽわ〜ん。嬉しい…。でも半端者のままかもしれない…。いやいや、そのままでいいから、必要なことが必要になった段階で出来るようになっていけば、わたしにしか成らないものにきっとなるだろう。

今日は妹が来てくれて、いっしょにみくりんをみてくれたので、お風呂にはいれました。
泣いてる時抱っこしててもらえるからとっても助かった、と言うと、
「何もしてなくて楽しかっただけだったのに、いいの〜?」
と言っていた、やっぱり子どもは複数人でみるのが健全だ…。

妹を移住にヘッドハンティング。彼女はパティシエなので、島で唯一のケーキ屋さんになってくれ…!

こまっちゃんはおみくじを引いて、
「転居 早くしてよろし」
だそうです。ためらうな!



2014/12/22

しまなみを走る


四国に向かったこまっちゃんから電話がかかってくる。
大阪行きの夜行バスは、20分遅れて到着した為に、電車の乗り継ぎの予定が全部狂ってしまったらしい。今夜は瀬戸内の島に宿を取っているけれど、暗くなる前に着けるかどうか。

昨日こまっちゃんが出かける前、お金の話になった。
「本当にやりたいことはお金が無くても実現出来る、と言いうようなことを聞くけれど、本当にそうで、もしも1000万くらい貯金があったら、大きな投資したりしてきっと全部無くなるまで失敗し続けるだろうと思う。無いから本気で考えるし、あれこれ考えたり失敗したりする猶予がないから、最短で成功すると思う。真剣度合いが違うから、判断も早いし直感も冴えまくってる。」
「そうか〜。お金が無くて、本当に良かったね!」
心からそう思った。本当にその通りで、もしもそんなに貯金があったら、今移住のことを考えなくてもいいのだから、これまで通りの生活をしながら問題を先送りにしただろう。それはその分だけ遠回りなのだ。お金がある、と、遠回り!わお!怖い!そういうメカニズムだったのか!

去年だか一昨年、移住したいと考えて情報を集めていた頃、雑誌か何かでみた石見銀山にある「他郷阿部家」の台所がとても格好良かったのを思い出して、今日サイトを眺めていたら、リンクから岡山の西粟倉と島根の海士で起業して地域の在り方を模索しておられる方の対談を見つけた。とても興味深かった。地域おこしを本気でやるというのがどういうことか、ほんの少しでも分かったような気になった。
そして阿部家で行われた別の企画のレポートの中に、島根にいるこまっちゃんの友達が出てきて、彼女は今や島根の地域おこし協力隊の企画のホープのようになっていて、ちょいちょい露出があるのを見て知っていたものの、ここにも繋がるとは、すげーと思って見た。西粟倉のことは彼女から聞いたことがあって、こういう繋がりって、繋がるとどこまでも繋がるんだなあ。こまっちゃんにそのことを電話で話したら、海士にもこまっちゃんの友達がいるらしい。わたしは海士には「ふくぎ茶」を飲んだ繋がりしかない。美味しい。

こまっちゃんは1時間遅れでなんとか愛媛に着き、なんとか自転車を借りられるところまで歩き、日が暮れかけた橋を走って一つ目の島に着き、そこから宿まで、途中完全に道を外れ、真っ暗の中を延々アップダウンしながらなんとか宿に到着。
そして腹一杯の夕食を食べる。

「千円…グレードアップしなくて良かったな。」

感じたことなど、電話で色々話す。
今回彼が応募を考えている協力隊には2種類の募集がある。一つはピンポイントに地域を絞ったオーソドックスなものと、もう一つは範囲を広く観光に携わるものだ。
「一日二日で見た土地を、定住する覚悟で何をすれば良いかなんて、分からないよ…。」
と、そもそも論の至極まっとうなことを言うこまっちゃん。

彼はどちらかと言うと観光の方にピンと来ている。
わたしは地域の方がいいな〜と思っている。
だけど、本当にこの、見知らぬ土地の、地域をおこしたいのか?おれは?という疑問が、おそらく当然元々あった、今まで興奮して見えていなかった疑問が見えたらしい。

でも、無理矢理気持ちを方向付けしたり、無理に好きになったり、どこかに嘘をついてやることは出来ないし、そんなことをする必要も無い、実際見て、何か違うと思ったら諦めたら良いし、そうするしかない。

大体、まだ一日目だし。暗くて殆ど見えてないし。

でも、暗がりを走ってコンビニの店員さんと話しただけだけれども、
「ここは本当に素晴らしい。暮らしたかったような暮らし方は必ず出来ると思う。」
ですって。

2014/12/21

いってらっしゃい


こまっちゃんは四国へ旅立ちました…。

今日は晴れ時々曇り。朝こまっちゃんが旅行に着て行く、もこもこのフリースを洗濯する。毎週土曜は、こまっちゃんはお母さんを手伝いに実家へ。今日はわたしはみくりんを連れて「くろねこ軒」へ行くことにする。

くろねこ軒はオーダー制のケーキ屋さんで、近所の住宅街の一軒家でやっているのだけど、月に一度だけマルシェを開いてお菓子やパンが買える他、自宅をオープンにしてカフェでケーキやちょっとした食事を頂くことが出来る。
初めてくろねこ軒のケーキを食べたのはパウンドケーキだったのだけど、今までこんなケーキをどこでも食べたことない、ケーキってこんな美味しいの?!の衝撃の美味しさだった。その時こまっちゃんとわたしはまだ恋人同士だった。そして結婚式の引き菓子をくろねこ軒さんで作って頂いた。
先月のマルシェでは、人がいっぱいでゆっくりみくりんを見せることが出来なかったので、今日のマルシェは遅い時間に行って、お菓子は殆ど売り切れちゃってるだろうけども、ちょっと抱っこでもしてもらおうと、午後、てくてく歩いていく。出産前まで、月に一度の贅沢、と、毎月マルシェの日を楽しみにしていたのです。散歩にはちょうど良い距離。くろねこの方々には、婚前、婚後、産前、と経過を見守ってもらっているような感じがして、やっぱり中身も見せなくてはと思い。

帰ってきたこまっちゃんと、お土産のくろねこケーキを食べる。
これが…美味しすぎて訳が分からなくなる程美味しい…。

夕食を食べて、おもむろに宿を探し出すこまっちゃん。
明日泊まる宿と明後日に泊まる宿。何とか無事に確保。
「宿泊費の6千いくらと7千いくらだと何が違うんですか?…はぁ、じゃあ7千円の方で。」
…あれっ?何で高い方なのだ?
「だって、朝食に魚が付くから。他のも全然違う風だったから。千円ケチるより美味しいものが食べたい!」
…いや、いいよ、いいんだけどね、一時期テントに泊まるんだって言ってたのは節約の為という訳じゃなかったんだなーと思って。面白いなあーと思って。

そんなこんなで、島をどう回るか、ルートも決まる。
「おれが上陸したら、島がふるえるぜ」
彼のジョークは高尚すぎて時々良く分からない。

今日の深夜バスからこまっちゃんは四国に旅立ちます。
バスで大阪まで、電車を乗り継いで愛媛まで、自転車で瀬戸内を通過、広島から帰る、の、今夜の車中泊を入れて4泊5日の旅です。

こまっちゃん、みくりんとこんなに離れるのは初めて。
みくりんの運命がかかっている…!これで本当に気に入っちゃったら、みくりんは島育ちの子になるのか…?!

瀬戸内は、雪だって。


どうやっても寝ない


「醤油もみりんもなくなってしまった。」
只今完全に料理担当のこまっちゃんの言。調味料大好き怪人の彼が、今後の節約の為に醤油とみりんを一升瓶で買うことにしたのだが、ネットで注文したのが届かないうちに在庫が切れてしまった。今日はしょっつる使ったり、だし醤油を使ったりしてお吸い物や漬け丼を作ってくれた。全然いけるじゃないか。どんどん使ってくれ、うちの冷蔵庫の眠っている調味料達を。

今日はこまっちゃんは、池袋サンシャインで行われた「新・農業人フェア」へ。
求人のある農業団体が全国からやって来て、直接話が聞けるのだが、有機農家はそんなに多くは無い。
こまっちゃんは10団体くらいと話をしたらしい。
「有機…じゃなくてもいいんじゃねえかと思ってきた。」
愛媛から来てブースを出していた農家さんから話を聞くことができて、地域おこし協力隊のことや、対象になっている島についても色々助言をして下さったそうだ。
「もし来るなら、自分の名前を出せば協力出来る」とも言って下さったそう。
地域おこし協力隊の任期は最長3年だが、成果を出せないとその前に任期が修了するらしい。ま、そりゃあそうだよね。それから有機農業の現状なども。

わたしが島のことを調べていて感じたのは、土地に対する愛情が我々都会人と比べると想像がつかないくらい深いということだ。地元に残って土地を盛り上げていく活動をしている人もいて、きっと島民全部が知り合いだし、仲間は先輩後輩同級生だし、なかなかよそ者に土地や家を貸さないというのも、全く知らない人を闇雲に入れないことで保たれる秩序があって、治安だとか他の島民の平穏に責任を負っているという感覚があるだろう。
祭りや、市のシステムや、若い世代が本気で受け継ごうとして関わらなかったら残らない無形財産みたいなものは、島民の交流が、とか利便性が、とかの都合を超えて何かこう、その島の気質というか、島を形作るスピリットみたいなものを内在させているのかも知れない。自分が知っている都市部の交流目的の新しい祭りやマルシェとは根底が違う…。

「それにしても、10団体も話を聞いて、そんなにピンくるとこ沢山あったの?」と聞くと、「向うから、『兄ちゃん話聞いてけ』って声かけられるんだよ」と。そして話が進んでくると「実は息子が農地を継ぐので、本当はその片腕になるやつを探している」など。

なんとなくわたしはどこか、まっさらな新天地で、自分の望むような生活を、誰にはばかることなく、のびのびと生きることが出来る、というイメージを持っていたけど、そこはかるーく2000年を超える歴史があって、土地を愛し、引き継いできた人達の言ってみれば固有財産のようなものだ、まっさらなのじゃなく。そこに住む人達に必要と思ってもらえなかったら、彼らが大切にしてきたものをないがしろにするんじゃないかと思われたら、やっぱりそこに住む恩恵はあらゆる意味で半減する。だってやっぱり、明らかに住んでると思うし、神様が…。

今日はみくりんはぐずる日。
先日まであまりお乳を飲まなかったので、身体が成長しているのでしょう、って本で読んだ。むずむずするのかな、想像だけど。今日はすごくよく飲む。全然ひとりで寝てくれないので、諦めて一緒に昼寝する。そうすると寝る。

とにかく、「今日行って良かった」と。愛媛の話も聞けたし。
「土地の人に受け入れてもらえなかったら、心地よく暮らすことは出来ない、でも受け入れてもらって必要とされることをする、土地の人と移住者の間に入る、それはすごく得意だ。」だって。
愛媛行き、途中大阪で友人宅に一泊を快く承諾してもらったそう。ありがとう。弾丸旅行楽しみにしているようです。テントは止めたようです。うん。

2014/12/19

今日の夕飯はひとり


こまっちゃんは、今日はお父さんの入院している病院へ。ボランティアをすると入院費が一部免除になるのだそう。こういう制度は家族にとってはすごく有り難い。

こまっちゃんは、愛媛行きを考えている話を、お父さんと、同じく病院に来ていたお母さんにしたらしい。二人とも「あなたたちがしたいことをしたらいい、自分たちのことは気にしなくていい」と後押ししてくれたそうだ。

電話で報告してくれたこまっちゃんは、「あの二人は本当にすばらしい」と言っていた。「これで心置きなく頑張れる」とも。
両親がどういう反応をするかをとても気にかけていたので、反対される不安もあったけれど、誤摩化したり、見ない振りをしていたら、納得してもらえないままだったら、知らない場所で新しいものを見る目を曇らせただろう。
全力でチャレンジするのを可能にする為に必要なことを、自覚してかしないでか、一つずつクリアしていくこまっちゃんは頼もしい。

病院の後、その足で八王子に行くという。
昨日とは別の日雇いに登録に行くらしい。頑張るなあ。そんなに必要かな?

わたしは家で、島々についてリサーチの第2弾。
調べていくうちに、段々「大変そうだな、色々…」という気持ちが起きてきて、もうこれ以上は調べない方がいいな、と思う。ある程度から先は、現地に行って自分で知る方がいい。頭でっかちになって身動きが取れなくなってしまうから。「まず行く」ことを決めたこまっちゃんは、やっぱカンがいいなあと思う。でも彼は調べなさすぎ。

わたしの方の親には、まだ何も言っていない。
どうすっかな…。








2014/12/18

クッキー失敗


こまっちゃんが立川に日雇いの登録に行っている間、愛媛の島々について勉強する。
とにかく島が多くて関係がよく分からないのと、「どの島がこういう地名の場所があって、こんなのがある」、という情報を知った端から忘れるので、やっぱり関係がよく掴めない。
けど、神様がいるってことは分かった。
わたしもこまっちゃんも東国側の人間なので、西の方は全然知識が無いのだけど、日本の中心がそもそもはあっち側、あの島々の方、だというのは何となく分かる。

地域おこし協力隊は1〜3月半ばまでの間に選考があるので、
こまっちゃんは、2月末まで派遣で働いて、3月は日雇いで働くつもりでいる。採用されれば4月一日が仕事始まりだ。
派遣の仕事は只今選考中だが、どうやら有楽町になりそう。
スーツじゃなくていいのでほっとしていた。

夢のような、「こんな暮らしが出来たら良いなあ」というビジョンを日々小さく諦め続けるのが日常だと思うけれど、ただぼんやりとあった「こんな暮らしが出来たら良いなあ」が、夢そのものを生きる、と決意して一歩踏み出したら、玉ねぎの皮が剥けていくみたいに、つるつるとビジョンがクリアになってきて、元々こまっちゃんが持っていた光みたいなものが、掘り起こされてきているように見える。
最初は「良い野菜が毎日食べたい」、そして「ゆくゆくは雇われない生き方が出来たらいいね」くらいだったのが、「程よく自然が」「空が広い」「暖かいところ」「新鮮な魚が安い」「世界に対して開いている」「文化レベルが高い」「自給自足出来る」などなど、自分で知らなかったような条件がどんどん出てきて、霧に浮かぶ島々の写真を見た時には「理想的」などとのたまい、不思議と選べる選択肢が複数あっても迷わなくなって来る。
一年前同じように移住の話をした時は、こうじゃなかった。
もっと自分の気持ちが見えなかった。どういう場所に自分は幸せを感じて満足するのか分からなかった。
それでもまだまだ今は手探りなので、失敗しながら「こっちじゃなさそうだ」と分かるのだけど、そんな中でも、島の生活を想像する度に「こんなことがしたい」「こんなことがよさそう」などと思いつくビジョンが、これまでの生活の延長線上にあるものの、もっと良いものなので、それがまた、ちょっとずつ何も達成していない自分たちに力を与えてくれるのだ。

今日はみくりんがかわいくて、わたしとこまっちゃんは「かわいいよう、かわいいよう」「なんてかわいいんだ」とくらくらしながら交互にみくりんと遊んだ。
「こんなかわいいものを産みだすなんて、神様の仕事を手伝ってしまった」
と思う。
でも何より、こまっちゃんと二人でみくりんを見ているから、そういう気持ちに首までひたひたになれるんだと思う。

ところで、有機農家で農業をやりたいと言っていたのはどうなったんだ?って思ったでしょ?
わたしも思います。

今週末こまっちゃんは、就農希望者が、求人のある農業団体と直接話が出来るフェアに行くのだそう。そっちの道も、候補としてまだとってあります。
わたしは、地域おこし協力隊の方がいいな。
というかわたしが地域おこし協力隊をやりたい。すごーくやりたい。みくりん背負ってでも出来るんならば正直本気で応募したい。



レレバント


昨日はこまっちゃんは夜遅くまで、愛媛の情報を調べていたようだ。
その後森山未來の動画を見て彼があまりに格好良かったので、盛り上がって真夜中にひとりでダンスを踊ったのをカメラの動画で撮影したそうだ。

分かったこと:
・小学校の給食が有機野菜!
・美術館が結構たくさんある
・県民性が明るい

こまっちゃんは学生時代、CSOラーニング制度を利用してNGOの研修を受けていたことがある。その制度を利用して知り合った人達と今でも交流があって、わたしも少し混ぜてもらったことがあるが、これが皆さん超優秀で聡明な方ばかりなのだ。地方で色んな分野で活躍している方もおられるし、今後話を聞いたり出来るんじゃないかと思うと非常に心強い。地域に根付いたこと、エネルギー分野、コミュニケーション関連…夢が膨らむなあという感じ。

今日はわたしの実家の父と妹がやってきて、みくりんのベビーカーを買いにいく。
車を出してもらってリサイクルショップへ。
なんだか沢山…色んな菌がいたね。みくりん免疫作ってくれ。

「夏休みは(岡山の)匙屋さんのところに行けると良いね」
「そうだねえ。行けるね。全然行けるね。」

夜、こまっちゃんは派遣会社から電話で面接を受ける。
「4月に移住するので、3月までの仕事で」
まるっきり採用されるつもりだ。

これが不思議なんだが、わたしも彼もうまくいくイメージしか持ってない。
そして不思議と、「君(等)はうまくいくよ」と人が言って下さる。
だめな場合は、そうなるべきじゃないんだろう、もっといい選択肢に出会うんだろう、と思える。
昨日まで二人とも、全く1ミクロたりとも愛媛に住むイメージを持ったことが無かったのに、昨日のブログを書いている時も、「愛媛」と書くつもりで何度も「愛知」と書いていて、全くレレバントじゃなかったのに、どんどん「こんなに、自分たちがすてきだと思うものばかりがあるなんて」と、どきどきそわそわしている。特に有機野菜の給食なんてそんな理想的すぎるもの、聞いたことないよ。

毎日の朝晩のヨガをして、心と身体を整えているこまっちゃんでした。





2014/12/16

一日が早い


朝雪が降っていてびっくりする。
団地の前の芝生にぱちぱち当たって、換気の為に南と北の窓を開けると、サラウンドで音に包まれて森の中にいるように心地よかった。

今日は一日中、こまっちゃんは短期の仕事を探していた。

朝ご飯を食べながら「瀬戸内に住んだら」の話で盛り上がり、わたしもなんだかちょっとわくわくしてきたぞ。島のちょっと高台で、海が見えて…。クリエイティブなカップルなんかが移住して来てお店をやってくれたら、彼らとの有機的な繋がりで面白いイベントが起こせるかもしれないし…。
こんなとき、頭の中に国立のお店の数々がお手本に出て来る。それぞれ違った個性のお店が点在していて、形態も様々、でも時々「ゆる市」というイベントで繋がって、ちょっとしたお祭りのようになる。

地域おこし協力隊の仕事が始まるのは来年4月。つなぎの仕事をしないとちとやって行けないので、派遣会社に登録するこまっちゃん。

そして、愛媛の地域おこし協力隊に応募するかどうかを決める為にも「現地に行ってみないと」と、青春18切符で愛媛に行く方法を調べ始める。
「テント持っていく」と言うので、「いいよ、宿泊まりなよ!」と言ったら、「いいの、テントに泊まりたいの」と。
学生のような、真冬の一人旅、やる気まんまんの様子。

東京から愛媛まで、乗り換え10分で10回ぐらい乗り換えるのだそう。
「本持っていかないと。ファウストにしようかな!」


村長



朝起きて、「どうしようどうしよう」とつぶやくこまっちゃん。布団に寝たまま話し合う。
数年先のビジョンをもう少し具体的にして、そこに繋がるものの中から選ばないと、今何をするのが適当か選べないよ。将来どういう生活をしているのが理想的なのか…。

「それがまだあんまり分かんないんだよ」
「例えばわたしはね、理想的なのは…。岡山の里山農場の人が言っているみたいに、畑と田んぼがあって、託児所も、レストランも、宿泊所もあって、そういうところで必要とされる仕事をしながらコミュニティに関わるのがしたい。それで風車とかあってさ、エネルギーも自給してるの。持続可能なの。そういうの。嫌?」
「いいよ。だって大学の時、里山で田んぼやってたもん、里山っていうのは、必要なものを自給出来る循環型の生活が出来るんだよ。そういうのに興味があったから。」
「持続可能で循環型で、そこに全部あったら、それって村だよね。わたしそういう村の……村長になるわ。それでスウェーデンとかのエコヴィレッジとかに視察に行く。」
「ともちゃん…。ともちゃんにそんなでかい夢のビジョンがあるなんて知らなかったよ…。」
わたしも知らなかった。初めて言った。わたしは村長になりたかったのか。

こまっちゃんは農家のおしごとナビに電話をして、千葉の農場に状況を確認して電話を折り返してもらうことにして、午後はハローワークに行った。

そして傷んで帰って来た。

もともと自己都合だから何かがどうなるとそんなに期待もしていなかったけど、友人の前情報と違って結構機械的な待遇をされたらしい。「バイトした方がマシ。もう行くことはない。」と。そんな暗い気持ちの帰り道の暗い富士山をパチリ。

そしておしごとナビから着信あり。
「選考で他の人の就職が決まりました」と。
千葉の農場に就職して、寮に住みながら働く、という線はなくなりました。
「あっけなかったな…。」
来週には千葉に行って、研修までは進むつもりだったのだけど。
「振り出しに戻った…。」

ハローワークの空気感を愚痴りながら、年末年始の角上魚類の深夜バイト(時給1800円)などを検索しはじめるこまっちゃん。いいよそんなの、本筋にもどって探そうよ。

「やっぱり地域おこし協力隊かもしれない。社会保障もあるし住むところは提供してくれるから」と言いながら、漫然と探す。全然顔に明るい感じが無い。わたしとみくりんを食べさせるという責任と別の何かが、わくわくする方向に気持ちが向くのを妨げているのだ。

東京に住んでいて、お祖母ちゃんがいて、お父さんもリハビリ中で、お母さんが介護をして、何かあったときに自分が支えたいし、家族を見捨てて自分が住みたいどこかの地方で幸せに過ごせるイメージは全く無い、その気持ちが彼が本当に望むことに出会う扉の楔になっていた。

人って不思議だなあ。一番望むことが叶わなかったら、一番望まないものを選択しようとしてしまうんだなあ。

実家の近くに住んで東京で働いたら、彼らは安心かもしれない。でも自分にも彼らにも開けていく明るいビジョンは無いし、むしろ自分にとっては人生終わりみたいなものだ。
でも「自分は望まれたことをした」という思いで、夢を実現させるチャレンジに失敗したことも、自分が現在幸せでないことも、最高に人のせいにすることが出来る。そういうメカニズム、よく目にするし自分の人生でも起こりがちだ。

ぐずるみくりんを交互にあやしながら、じっくり話し合う。

わたしは今日、循環型のヴィレッジのPR動画を見て、見てたら涙が出ていた。
そういう時は理屈を超えて、魂が何かをわたしに言っているんだろう。
完璧に不便な、手づくりのボロ屋のような所に住んで、「人はとことん不便な思いがしたいんだなぁ」と思った。
だけどそこにあるのは高度経済成長が捨てて来たものに見えた。
人類が種として弱まってしまった筋力を取り戻す努力をしているように見えた。
そして、日本人は釘一つ使わず何百年ももつ建物が建てられたのに、そういう技術を資本主義のその次の世代に繋げられなかったんだなぁと思った。

わたしにとっては、育った東京はもう十分、都会のシステムに自分のつじつまを会わせるのでなく、自分の自然を許してくれる自然の中に暮らしたい、みくりんも土の上を裸足で遊ばせてあげたい、使い捨ての価値観から、もっと違う、長く続くものが見たい。そういうことが田舎で、田舎だったら可能なのに、という希望を持っている。
自分の土地はここじゃない、子どもの頃から持っている感覚。
それがやっと自分の本筋に向かい始めたのだ。東京で仕事を辞めるって大変なことだよ。レールから外れるところが一番勇気が要って、だからあとは楽しい道だよ、やっと望む方向に歩き出せる、不安でも苦しくても、わたしは今すごく楽しい。

そしてこまっちゃんが「本当は関東はぴんときてない」ことに気付く。そして一番理想的なビジョンが、

「海があって、山があって、父さんと母さんが散歩したりして、みんながのびのび暮らしている」
であることにたどり着く。その為に、お父さんとお母さんが居心地良く住めそうな土地を探して、そこで居場所をつくり、彼らを迎え入れる下準備をしておく。そこに繋がる移住だったらポジティブなんだと分かる。

そして範囲を広げて地域おこし協力隊の募集を探し始めた。

「愛媛の瀬戸内海の島がいい…!」

農林業も漁業も手伝える、新鮮な野菜と美味しい魚が食べられる、土地と加工品のPRでマーケティングの経験も生かせる、外国人を対象にしたイベントで英語のスキルが必要とされている。
「瀬戸内に住むことを考えただけでわくわくしてきたね!」

我々の財力的には、2、3ヶ月以内には仕事を始めないといけない。
2、3ヶ月後には瀬戸内か…。

瀬戸内…なのかな?!